20代の憂鬱~21歳①~
新年度を迎えるにあたり、生まれて初めてパーマをかけた。
元カレが好きだからというだけの理由でずっとストレートロングだった私のささやかな抵抗。
ケンジとの関係はもう終わりが見えていたが、相変わらずの二重生活は続いていた。それでも、別れの決断が出来なかったのは元カレに女の影が見え始めていたから。
パーマをかけたのは、もう思い通りにはならない。ちゃんと見てくれてなきゃいつでも離れてやる。という意志表示。
元カレが好きなのは、ストレートロングの黒髪、短めに揃えられた爪に控えめなネイル、香水はつけず、タバコはもちろん吸わない、そんな女のコ。
ずっと隠れて吸ってたタバコも解禁、髪型も変えた。あなたの望むようにはできないけど、それでも私を想ってくれるの?
そんな挑戦。
でも、自信がない私はケンジという保険を断ち切れないまま…絶望の日を迎える。
私は今でも『どっちでもいいよ』という言葉が嫌いだ。
相手の意思を尊重するように見せかけた言葉だけど、自分は責任を回避する無責任な言葉だ。
『どっちでもいい』と言いながら、私に決断させる。あなたはズルい。
あの日もそうだった。
『どっちでもいいよ』そう言ったね。そして私はあなたの望む答えを出した。
あなたは悪くない。私が決めたこと。
それでも『どっちでもいい』は嫌いだ。